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そのまま酒田が落ち着くまで抱き合ったままでいると、しばらくして小さく胸を押し返された。ほんの少し体の間に隙間を開けると、気まずい顔の酒田と目があった。泣いて色づいた目の端がとても色っぽい。
「もう、大丈夫です、から……有馬君、はなしてほしい、です」
「えー、もう少し、このままじゃだめですか? 次はもう、半年先まで触れることすらできないのに」
そう言うと、酒田は少し恥ずかしそうに頬を染めた後、ほんの少し寂しそうに笑った。
「……まるで、半年後まで俺が有馬君を待ってるのが当然みたいに言ってますけど。……半年、待ったからと言って、俺が有馬君の気持ちを受け入れるかどうかは別ですよ」
「えっ!? 俺、この流れで振られるんすか!?」
最後の有馬の言葉にはただ小さく笑みを返してそっと離れようとした酒田の手を、有馬はもう一度つかんだ。おどろいたように見上げた酒田の瞳をじっと見つめながら、酒田の許可なしに片手で恋人つなぎをして、ゆっくりとそれを目線の高さまで持ち上げ、くるりと向きを反転させた。
「あの、ありま、くん……?」
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