君に言いそびれないための台詞 第三幕

2/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「もう行ってしまうの?」 「うん、じゃあね。」 違う!そうじゃない! これで5769回目の失敗だ。 「もう行ってしまうの?」 「好きです!」 いや、突然すぎる! 生まれた頃から、繰り返し続けている、夢…いや、これは記憶。 神様かなんかから前借りした、大切な大切な記憶。 目の前の人は、明らかに確実に、僕の運命の人。 しかし、15歳かそこらの恋なんて、一生続くわけもなく… そう、だからこそ、答えは… 「もう行ってしまうの?」 「…ああ、そろそろ帰るよ。」 本番で頭が真っ白になりかけた、そのとき、彼女が呟いた。 「あなたの答えはそれでいいの?私に言いそびれた台詞はないかな?」 「…10年後、お互い成長したときに、お互い本当の恋というものを知ったときに、また会おう。」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!