不幸本番

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 近所の人は気をかけて私を見てくれた。茫然自失とした私を気にかけてくれたのは、近所の人だけだった。  その人も年齢を理由に都会へ行くことになり、私は一人、家に残された。  それからはただ食べることをせず、寝ることをせず、欲求もないまま一日を過ごしていた。  そこから先はよく覚えていない。  気がついたら病院にいて、ベッドに乗せられたまま一日を送っていた。  その頃には少し食事を思い出し、死なない程度には食べていた。それも具合が悪ければ吐き戻す始末。食事が何より嫌だった。
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