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『さやか』と書かれた扉の前まで来た。ドアノブをゆっくりと回す。
扉を開けて真っ先に目に飛び込んできたのは、窓際に飾られた小さなクリスマスツリーと明滅する明かりに照らし出された豪華な天蓋付きのベッド。
中には長い睫毛を閉ざした少女が小さく寝息を立てていた。
ベッドの角には真っ赤な長い靴下が括りつけられている。
手に持っている大きな白い袋から社長から預かった真っ赤な包装紙にピンクのリボンが付いた小箱を靴下の中へそっと入れた。
ダミーの発泡スチロールをたくさん詰めた白い袋をふわりと肩に抱え上げ、少女の部屋を出て行こうとドアノブに手を掛けた瞬間、
「サンタのおじさん?」
と呼び止められた。
心臓が一瞬止まるかと思うほど驚いたが、笑顔を作って振り向くと、
「メリー・クリスマス!さやかちゃん」
と片手を上げて挨拶した。
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