頼まれサンタ

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「あなた。本当にサンタさんなの?お父さんではないみたいだし。」 「私の名前は、サンタ・クロース。トナカイのそりに乗って世界中の良い子達にプレゼントを配っておるのじゃ。」 「じゃあ聞くけど、良い子の基準ってなあに?」 なかなか鋭い質問だ。 「ええとそれはじゃな、良い子というのは夢に向かって一生懸命に頑張っている子じゃよ。」 よし、まずまず上出来の答えだ。 「じゃあさやか、このプレゼント返すわ。さやかは、目標も無いし頑張ってもいないもの。」 そ、そうきたか。それでは社長からバイト代を貰えなくなる。 「そ、そんなことはないぞよ、さやかちゃん。このワシにはさやかちゃんの心の中に光輝く夢を感じ取れるんじゃ。」 俺がそういうと、先ほどまで伏せ気味だった長い睫毛を大きく開きキラキラと瞳を輝かした。小学三年生にしては大人びた綺麗な顔立ちをしている。 「え!それ、ほんとう?サンタのおじさん。じゃあ、さやかの夢を当ててちょうだい。」 急いで室内に目を走らせ、ヒントになりそうなものを探した。 机の上には可愛らしいキャラクターグッズが溢れ、部屋の壁紙は白地に四つ葉のクローバーが描かれている。 ベッドの反対側の角には木目調の茶色いピアノが置かれていた。 「ずばり、ピアニストじゃな。」 なかなか無難な回答だ。小さい頃、ピアニストに憧れる女の子は多いだろう。 「え~、私あんまり上手にならないから先月ピアノのお稽古を辞めちゃったばかりよ。」 さきほどまで輝いていた少女の顔が失望へと変わった。なかなか一筋縄では行かないらしい。 「では、イラストレーターや漫画家なんてのはどうじゃ?」 「絵は好きだけど、お仕事としてはどうかしら。」 う~む、これは手ごわい。
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