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「じゃあ、反対に聞くけどサンタさんの夢はなあに?」
「そ、そうじゃなぁ。わしの夢は・・・。うん、世界中の子供たちが幸せに暮らせることじゃな。」
「そんなんじゃなくて、もっと現実の夢よ。例えば結婚とか・・・。」
少女は俺のことを上から下まで目で撫で回す。
「サンタさんって、独身?」
え・・、独身?
サンタ・クロースって独身だったっけ。絵本とかでも奥さんは出てこないよな。そもそも聖人だから、結婚してないはずだ。
「あ、ああ。その通り、わしは独身じゃよ。」
「好きなタイプは?」
くっ・・。完全に少女にペースをもっていかれている。この押しの強さは社長譲りだろうか。
「そうさなぁ。若い頃、好きな人がおったのう。初恋の相手じゃ。」
「どんな人だったの?」
「とても綺麗な人じゃった。髪が長くて、睫毛の長い目のパッチリとしたな美人じゃったな。勉強も運動もよくできる人じゃった。」
「告白したの?」
「若い頃は、こんなわしもいくじなしでな。告白をせずにぐずぐずしていたら、遠くに引っ越してしまったんじゃ。」
「そう。悲しい結末ね。じゃあ、かわりに私はどうかしら? 顔はまずまずだし、勉強はイマイチだけどスポーツは得意よ。」
「フォッフォッ、残念じゃが、わしはもう年を取り過ぎとるでな。」
なかなか面白いお譲さんのようだ。ただこんな会話が社長に知れたら、即刻首だろうな。でもこの子の申し出に悪い気はしない。
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