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「じゃあ、ひとつお願いがあるの。十年後のクリスマス・イブの夜に私の元に来て、もしもあたなが私のことを気に入ったら結婚してくれる?」
「そうじゃな。十年後、もしもさやかちゃんが良い子で、わしの姿を見ることができたら考えてあげてもよかろう。」
俺は、少女をベッドに寝かせて布団を肩まで掛け直すと、白い袋を肩に掛け直し扉に向かった。
俺はドアを開け、肩越しに振り返って少女に言った。
「おやすみ、さやかちゃん。」
何を思ったか少女はヒラリとベッドから抜け出ると、床に落ちていた白いものを拾って、俺の元まで軽やかに歩いてきて差し出した。
「おやすみなさい、サンタのお兄さん。」
受け取ったのは、白い口髭だった。雇われサンタの正体は、とっくに少女にバレていた。
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