私、田中 正義(たなかせいぎ)っていいます。

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大丈夫よ。 正義。 落ち着いて。落ち着くのよ、正義。 私なら言える。 私、私は、生まれ変わったのだから。 大きく息をすって・・・ 深呼吸・・・・・・ 真っ直ぐに伸びた長過ぎる脚。 雪のように真っ白な肌。眼鏡の奥に大きな瞳。 彼女は、鋭い眼光を篠田桜に向けた。 「お、お、お、お姉さん、声が漏れてます」 し、しまった…また、声が・・・ 女刑事の声が裏返る。 これは、よくあること・・・ 「え? 声? 声が何かしら?」 篠田桜が、ニッコリと、女刑事に笑顔を向ける。 真っ直ぐに向けられた篠田桜から、 女刑事は、すぐに視線を逸らした。 こんな綺麗な顔で優しそうな人なのに。 心の声が、こんなにも違うなんて・・・ 「こ、こここ今回の連続殺人犯。  木口亮を殺したのは、し、しししし篠田さん。  あなたでしゅね」 部屋中の刑事たちが引きつった笑顔を浮かべている。 「刑事さん、日本語、話してくださいます?  何を話しているのかが、さっぱり分かりませんわ」 篠田桜が女刑事を見下したように、 クスリと声を漏らす。 だって、だって… ビビるな、ビビるな私。 ひぇぇぇ。 私の目をみるなぁぁぁ!!! 女刑事は、涙を浮かべ、息を荒げる。
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