捧げられたこの身

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  何て、何て綺麗なんだろう。 色とりどりの小さな花々が絨毯(じゅうたん)のように咲き乱れ、穏やかな風に吹かれている。 金銀で装飾されている沢山の建物。 しかし和が色濃く、全て木造で立てられているように見える。 「お母様に聞いた事のあるお伽噺(とぎばなし)の世界みたい……」 全てが煌めいて見えて、漓朱は眸を輝かせた。 今此処は昼なのか、空は明るい。 しかし今まで彼女が居た処とは違い、空は蒼、黄、緑、白の四色で構成されていた。 絶妙なバランスで喧嘩せずにあるその色達に、漓朱はうっとりと目を細める。 此処が神の住む世界だと言われれば納得が行く。 「漓朱、何を呆けておる。……行くぞ」  
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