捧げられたこの身

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  くいっと顎を持ち上げられ、漓朱は息を呑んだ。 端正な顔が徐々に近付いて行く。 銀の長い睫が、漓朱の鼻を撫でた。 「……!」 「……っ」 ハッとしたように手を叩き落とし、弾かれたように離れた漓朱。 驪珀にとっては痛くも痒くもない抵抗だったのだが、腹立たしい。 「うわっ、主様が女の子に拒否されるの初めて見たぁ」 視線だけで人を殺せそうな驪珀の眸に怯まず琉貴はけらけら笑い、漓朱の細い腕を引っ張った。 「ねえ主様、そろそろ彼女……」 漓朱が苦しそうに呼吸し出し、首を押さえた。 息がしづらいのだろう。酸素が足りず大きく傾いた漓朱の躯を、琉貴が落ち着いた様子で受け止める。  
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