3486人が本棚に入れています
本棚に追加
くいっと顎を持ち上げられ、漓朱は息を呑んだ。
端正な顔が徐々に近付いて行く。
銀の長い睫が、漓朱の鼻を撫でた。
「……!」
「……っ」
ハッとしたように手を叩き落とし、弾かれたように離れた漓朱。
驪珀にとっては痛くも痒くもない抵抗だったのだが、腹立たしい。
「うわっ、主様が女の子に拒否されるの初めて見たぁ」
視線だけで人を殺せそうな驪珀の眸に怯まず琉貴はけらけら笑い、漓朱の細い腕を引っ張った。
「ねえ主様、そろそろ彼女……」
漓朱が苦しそうに呼吸し出し、首を押さえた。
息がしづらいのだろう。酸素が足りず大きく傾いた漓朱の躯を、琉貴が落ち着いた様子で受け止める。
最初のコメントを投稿しよう!