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「やっぱり、ね。……って、主様!?」
「我が運ぶ。……付いて来なくて良い」
琉貴から奪い取るように漓朱を抱えた驪珀。
唖然(あぜん)としている琉貴を尻目に、彼は歩調を緩めず自室へと向かった。
広いベッド。キングサイズくらいだろうか。
其処にそっと漓朱は下ろされた。
彼女の時代にはベッド等ないから、漓朱は朧気な意識の中初めての感覚に息を呑んでいた。
絹以上に滑らかな手触りの布団は気持ちが良く、身が裂けそうなくらい躯が痛いのにうとうとしてしまう。
天蓋(てんがい)から落ちる、天女の羽衣のように神秘的に輝くレースは美しい。
「……先程の酒は、我の血を混ぜた物だ」
突然紡がれた言葉に驚き、漓朱は目を丸くした。
「その血はそなたの躯を縛り付ける」
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