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「漓朱様、少々手荒になりますが我慢して下さいませ!」
星羅も蘭華も時間が無いと、焦って漓朱の支度に取り掛かる。
躯を洗われたかと思えば髪を結われ、あっという間に服を着させられる。まさに神業だ。
湯に浸からされていたからか、漓朱の肌は薄桃色に染まって少し暑そうだ。
「嗚呼、お化粧もしないと!」
「もう遅いのではないかしら? ……驪珀の気配がする」
「主様の気配……でしょうか? ええと、漓朱様、あ、あの、私には何も感じられないのですが……」
驚いて手が止まってしまう星羅に、おどおどと目を游がせる蘭華。
確信に満ちた眸で扉を見ている漓朱に、二人が何度も瞬きを繰り返してしまったその時。
勢い良く開かれたそれに二人は更に驚き、口をあんぐりと間抜けに開けてしまう。
「え……? って、あっ、お帰りなさいませ主様!」
「お帰りをお待ちしておりました、主様……」
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