四つの国

22/31
3477人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
「まあ、ですが良い事だと思いますよ。蒼黄緑白の王が人を連れ帰ったらーー」 「それは我から話すから良い」 「……ふふっ、御意に。では俺は彼女に食事のみならず全ての作法を叩き込みますね」 琉貴が言おうとした事は、ご飯を終えてから驪珀が話そうとしていた事だった。……漓朱に伝えてない事は沢山ある。 契約は彼女にとって不利な事ばかりでは無い事や、神々の事、この国の事等だ。しかし驪珀は教えてやるつもりはまださらさらない。 琉貴が席に着いた時、待ってましたと言わんばかりに料理が運ばれて来た。閉じ込められていた時とは違う煌びやかな盛り付けに、漓朱は眸を輝かせる。 大きな丸い皿に小さな料理が乗っかっている。中心には四角い形に切られたミンチ肉に、ジェルで固められた色鮮やかな野菜が挟まっており、皿の端にはオレンジソースで模様が描かれていた。 ミンチ肉の左上には花弁のように美しく開き立っている葉野菜。ルビーのように真っ赤な小さな木の実のようなものがバランス良く飾られ、料理が輝いて見えた。 「今日は洋食なんですね主様」 驪珀は料理に拘らないから、料理長は好き勝手自分の気分で作っている。朝から洋食何て何時振りだろうか。漓朱が居るからきっと気合が入っているのだろう。 皆朝から驪珀が異性と食事をする姿を見た事がないし、その相手が生贄とされた者というのは本当に驚くべき事。 初めにも驪珀が言っていたが、生贄は代々奴隷か子を産む道具とされている。こうして共に食事をするという事は、栄養を与え子を産ませる準備をさせているのだろう……と解釈されてしまったが故の舞い上がりようなのだ。
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!