四つの国

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神同士で子供が出来ないという訳ではないが、神同士となると権力の問題が絡んで来てしまい厄介な事が増えてしまうし、地位目当てに等ざらにある事だから中々皆子を成そうとしていなかった。 何処の世界も権力権力と、神の世界ですらも欲にまみれているのだ。しかも人より力があるからこそ更に厄介だし、手に負えない。 おまけに神々は人よりも自尊心が高い。自分の権力を他の者と分け合う等絶対したくないのだ、そんな価値観の世界で神同士子を成すなど無理に等しい。 だから供物である自分より遥かに下の、何時でも殺して構わない人間との間に子を作ろうとするのだ。人となれば権力を分け合う必要もなければ、利用される心配もないと皆考えているのである。 そして彼等が人と子を作ろうとする一番の理由は、強い世継ぎが生まれるという事だった。 人と交われば神の血が薄まる気がするのだがそうではなく、人の物は子に宿る神の血肉に全て吸収され一つも残らず、他種族の遺伝子を取り入れる事で元々神にはなかった力を取り入れられ強くなるという訳だ。 「洋食……か。漓朱よ、そなたはこれの食べ方が解るか?」 「……いえ。左右に置かれている道具の使い方は解りますが、何れから使って良いのか全く……すみません」 「だ、そうだ。琉貴よ、我は先に食を進める故、早く、解り易く説明してやるのだ」 こうして始まった指導は、琉貴の苦労一色で染め上げられたのは言うまでも無いだろう……。
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