四つの国

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豪勢な食事を終え普通ならばお腹一杯になっている筈なのに、漓朱は緊張の余り食べた気がしていない。 「漓朱様、上出来でしたよ! 一週間も練習すれば充分かと」 「……ありがとうございます」 ナイフとフォーク、スプーンの使う順番が漓朱の頭をぐるぐると回っている。手を休める時の置く場所、食べ終わった後の置く場所。 その他にもナフキンの使い方や使用後について等も沢山教えて貰っていた。全て教えてくれた琉貴も琉貴で、気を張っていたからか料理の味を覚えていない。 面倒な事であるにも拘らず丁寧に指導してくれた琉貴に、彼女は頭を下げた。 「本当に、ありがとうございました。琉貴様、これからもご指導どうか宜しくお願い致します」 「あははっ、そんなに畏まらなくて良いのに! 真面目なんだね、気に入ったよ」 にへへっと八重歯を見せ微笑む。しかし琉貴はその表情からは想像が出来ぬ程、漓朱の事を観察、品定めをしていた。 一月此処の国で過ごしているとはいえ、こんなにも素直に今置かれている状況を人は受け入れられるものなのだろうか。 余程の莫迦なのか、神経が随分太いのか、それとも諦めがとてつもなく早いのか……何か企んでいる、という可能性も捨て切れない。 何れにせよ、驪珀が珍しく興味を持った相手なのだ。色々と調べ上げ、安全で信頼して良い人物なのかどうか判断しなければならない。
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