捧げられたこの身

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  ぽっかりと大きく空いている洞窟はまるで魔物が口を開けているようで、少女はその不気味さに身を強張らせる。 逃げたくても、足に繋(つな)がれた頑健な鎖のせいで許されない。 泣けるものなら泣きたい。けど、絶対に泣いてやるもんか。 矛盾(むじゅん)した気持ちが胸を渦巻き、彼女は奥歯をぎりりと噛み締めた。 がさがさ。 急に辺りの草木が揺れた。 「…………!」 闇に煌(きら)めく真っ赤な三つの光に戦慄(わなな)き、彼女は息を殺す。 多分その光は獣のもの。 だがその姿は平成と呼ばれていた時の獣のそれとは違う。 目は三つあり、大きさは三メートルを超えているからだ。 「あ……あ……っ」  
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