3486人が本棚に入れています
本棚に追加
「何故……? 王が嫌うから、国民も嫌っていると言うだけに決まっているだろう。神々は美しいが正義だと考えている者が多いし、当然の事だ」
処刑も好きに行われているしな、と更に付け加えられ、目を大きく開く漓朱。やはり神々の考えは、人とは少し違う感覚であると思い知らされた。
変に純粋だからか、神々は人よりもやる事が過激すぎる。哀し気に睫毛を揺らした漓朱を不思議そうに見遣り、驪珀は首を傾げた。
「……。黄呀国は好戦的な者が多く、腕っ節が強ければどんなに身分が低くとものし上って行ける国だ。酒豪も多く下品な奴が多い」
驪珀は下品な振る舞いをする者が嫌いだ。豪快に笑う黄呀国の神達には、何時も嫌悪しか差さない。
しかしそんな国民を束ねている国王自体はそうではなく気品に溢れており、近くに居るだけで威圧される程の気迫には尊敬の意を抱いていた。
「供物に関しては良く剣闘士として賭け事に使われて居るが、勝てば権力者の元に買われ道具では無く生き物として対等に扱われる様になる」
其々の国によって、生贄の扱いは違う。奴隷や子を産む道具というのを大前提にして、この様に様々な扱いをされているのだ。
「白亜国は根暗で物静かな者が多く、頭が良い。ここの国には基本、病や死霊、厄災といった厄介な物を司る神々が住んでいて、草木が中々育たぬ」
内容が内容で他国とは毛色が違い、漓朱は白亜国に恐ろしいイメージしか抱けず、こう言った怖い話は苦手で思わず驪珀の裾を掴む。
細くしなやかな指が小刻みに震えていて、驪珀は目を瞠る。眸には怯えが入り混じっており、漓朱を弱々しく見せていた。
「そなたは己に危害が加えられる事以外の話でも、その様な顔をするのだな。……我には理解出来ぬ」
最初のコメントを投稿しよう!