四人の王

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「琉貴よ、我は失敗を許すつもりは無い。その様な甘い言葉を」 「まあまあ主様別に良いじゃないですか。もうっ、折角漓朱様が落ち着いたのに」 やはり失敗は許されないのかと、また顔を強張らせた漓朱が可哀想で、琉貴は盛大な溜息を態と吐き出した。 漓朱の髪が映える深紅の着物。まな板帯は豪華で、彼女の洗練された雰囲気と美しさを際立たせ、まるで高貴な身分の者かの如くだ。 伊達兵庫髷、全て着飾らせたのは漓朱にお前は見世物だと思い知らせる為であり、彼女の強い緊張はこの格好をさせた驪珀の思惑通りであるのに、更に追い込むなんて酷い。 「知らぬ。……もう着くのだ、静かにしろ」 琉貴の抗議などどうでも良いと驪珀はピクリとも表情を変えずに二部屋先の襖に目を遣り、歩調を上げた。 着物も頭も重くて、漓朱は付いて行くのに必死。琉貴は少しでも歩き易くしてやろうと手を掴んでやり、気遣いながら進んで行く。 「……」 部屋の前に着いた。驪珀は漓朱達を一瞥し、襖に手を掛ける。肌を刺す空気が漏れ出て来ていて、漓朱は今直ぐ帰りたい気持ちで一杯になった。 静かに放たれた襖。此方を見る様にして、三人の男が腰を下ろしている。王がこれだけ居ると迫力があり、琉貴ですらも緊張から汗を流した。 しかし流石は驪珀。一切動じずに優雅な足取りで彼等の元に歩みを進め、事も無げに身を翻した。
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