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話し掛けて来た男の背後に横たわる死骸(しがい)に視線が行かない程美しいその姿に、彼女は固まる。
彼の極上の絹糸のような白銀の髪がさらさらと風に流れ、月光を浴びて幻想的に輝く。
身が凍えてしまいそうなくらい冷たい眸に見下ろされ、彼女はたじろいた。
「え……?」
「我の質問に答えよ、人の子」
「……っ、貴方の供物かは解らないですが、私は生贄です」
「そうか。……ならば行くぞ、人の子よ」
少女の華奢な手を掴み、怜悧(れいり)な美貌の男が歩き出す。しかし……。
「い……っ」
「……? 鎖、か。煩わしい」
鎖が邪魔をし、進めない。
少女は擦れた痛みに思わず顔を顰(しか)めた。
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