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コイツそこの所、知ってんのかな。
まあ、虫と人間じゃ違い過ぎるからどうでもいいか。
金を分け終わった親父ちゃんは、媚びた目付きでこちらを見上げて来る。
あーあ、情っけないの。
「はい、立ってぇ」
指図すれば素直に立ち上がる。
「まだ、何かないのぉ?」
我ながら気色悪い猫なで声を出して、又も親父ちゃんを金庫に向かわせてやった。
ちょっーと、悪戯心。
奥行きの無い隠し金庫に入った所を見計らい、はい、ガラガラピッシャーン。
扉をスライドさせて、ついでに本棚も元通りっと。
そんな使われていない様だけど、手入れは行き届いているな。
親父ちゃんのくぐもった叫び声が微かに聞こえて来る辺り、空気は通っているのかな?
窒息死より餓死するのが早いか?
ま、もうどうでもいいや。
用は済んだし。
金は思ったより手に入ったし、これ、多分に汚い出所の奴だから足は付かねえやな。
ん?
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