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確か玄関先に車のキーが置いて有ったよなあ。
有り難く頂戴して、車を使わせて貰うか。
所がだ。
「母さんを離せえっ」
玄関に辿り着く前に、お寝んねさせといた中坊が、金属バットを振り被って襲い掛かって来やがった。
「おいよ」
適当に答えて、相棒に素早く目配せ。
途端、バグンと鈍く湿った音が響いた。
ありゃま、親子で頭を仲良くごっつんこ。
どっちも血を流して伸び直し。
二人共、頭蓋骨が変形しちゃってるよ。
親父ちゃんの声はとっくに聞こえないし、こりゃあ一家三人変死事件と扱われるかもな。
中坊ちゃんよ、残念だったな。金属バットは、お前を強くする魔法の道具じゃない。
強くなりたいなら、俺の相棒みたいに人を辞めな。
心は無駄だよって教えても、息絶えてんなら意味ないか。
「で、持ってく？」
もう一度、同じ事を聞けば首が横に振られた。
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