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ま、標本ってのは脚の一本がもげても価値が下がるらしいしね。
完全じゃなきゃ、要らないか。
「じゃ、お前の取り分。自分で持ってけ」
一億入った方のエコバッグを渡せば、むっつり黙りこくったまま受け取る。
人を二人殺しときながら何時もと変わらない。
恐ろしい男だねえ。
まあ、余計な事はしねえし、言う事は素直に聞くし、俺には丁度良い相棒さね。
もちょっと、陽気だと嬉しいんだが、そこまで望んじゃ高望みよな。
車のキーを有り難く拝借し、俺達は盗みに入った豪邸を後にした。
はん。金持ってても他人に盗られちゃ意味ねえし、そのついでに命も失くしてちゃあ世話のない親子よな。
思ったよりも大金を上手くせしめた俺は今、機嫌が良い。
借りた車は車高も高いから、なおさらだ。
返す気はさらさらないがね。
鼻歌を歌いながら、高速道に乗り入れる。
隣にゃ、むっつり陰気な相棒。
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