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ハンドルを握る俺の左手には厳めしい装飾の指輪が光る。
お気に入り何だよ。
何時、手に入れたかは忘れちまったけどさ。
光を反射し、炎の如く揺らめく紅い石の煌めきも気に入りだし、そいつを抱き込む形で燻し銀で作られた上半身は女、下半身は蛇のうねくるデザインは色っぽい。
あ、勿論、薬指何かにゃ付いていねえよ。
俺、独身だもん。
付けているのは中指。
楽しくドライブを初めて十五分。
警察の車が追っかけて来やがった。
あーあ、もう。すげえ楽しかったのによ。
ま、こういったスリルも良いか。
確かこの先のサービスエリアは直ぐ後ろが山だ。
そこに逃げ込むとしましょうか。
けたたましい警告音に、けばけばしい赤色灯の明かり。
おまけにスピーカーでの怒鳴り声。
周りの車が引いちゃって、まあ、快適に高速をすっ飛ばせる事。
右だの左だのの車線も、速度規制も何もかも無視。
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