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俺はアクセルを思い切り踏み込む。
逆方向からサービスエリアに突っ込み、そのまま後ろの山へと乗り入れた。
しっかし、この車は本来こういった荒事向きには出来ていないよな。こいつは多分そんな使い物にならねえ、お遊び用だ。
適当な所で乗り捨てなきゃな。
凄まじい振動と、車内にガンガン響いて来る音を無視して、俺は強引にアクセルを吹かし山の中を突っ切って行く。
木々の隙間を縫い、無理矢理道なき道を進む俺等には付いて来れないか、パトカーから降りた警察官が慌てふためいているのは背後にチラリと見えたがよ。
どんだけ走ったか、いきなりフロントガラスにビシリと蜘蛛の巣状のヒビが入る。
一気に視界が悪くなった。
あーもう。お高いだけの車だから、こんな乱暴には耐えられんか。
「金は?」
がっくんがっくん揺れる車内で相棒に問えば、既に二つのエコバッグをしっかりと抱かえ込んでいた。
車を止め、シートベルトに手を掛ける頃には、警察の追って来る姿は無い。
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