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だが、早いところ逃げなきゃ、空からヘリが来るかも知れん。
顔は知られていない筈だから、ここが正念場だ。
逃げ切れればこっちのもの。
何処まで知って追って来たか、こっちも分からんが、人殺しが知られているんなら向こうも相当殺気立っているに違いない。
俺等は駆けた。
道なき道を駆け、途中で沢伝いに山を降り、足跡や匂いの痕跡を消す工夫を凝らしながら、真っ暗になった山を。
灯りは点けない。
本来用意がないし、ついでに言えば二人共、夜目は効く方だ。
月明かりに星明かり、それらを頼りに一晩中、山の中を逃げた。
夏で良かったよ。冬じゃ凍死しちまう。
降って、登って、降って、降って。果てしなく。
そして東の空が白む頃になって俺等は、山の麓にぽつりと建つ建物に出っくわした。
廃校?
木造二階建ての、いかにもって感じの建物に、ちょっと所じゃなく雑草の目立つグラウンド。
「何か、出そうだなあ」
七不思議何て、学校の怪談が現役で残っていそうだ。
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