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あんなもん、恐怖心が見せる幻だろう。
外は明るくなっているから追いやすいけど。
しゃにむに駆ける相棒を追って更に山を降れば、やがて人の手入れの入った山道へと出た。
そこで息が切れたか、へたり込みかける腰を蹴り飛ばして歩けと指示してやる。
陰気にだが文句も無く、逃げる間もしっかりと持っていたエコバッグを手に歩き出す。
このまま道なりに行けば何かあるだろ。
ゆっくり、早朝の散歩と歩いて行けば思った通りだ。
バンガローって奴か。
丸太を組んで作られたソレは、こじゃれた雰囲気で周りを花々に囲まれて建っていた。
さっきまでの教室の扉を開けたら、もう既にそこは寂れた廃墟で、誰も居ませんでしたって感じの校舎とは全然違う雰囲気。
ふうん、手入れの行き届いた庭だよ。
誰が居るかも知れない。
庭がまったく荒れていない事から、俺は慎重に丸太小屋に近付いて行った。
取り敢えず、何か食い物が有れば良いんだけど。
札束は食えないしなあ。
こういう状況じゃ、札束様もただの紙切れ。
火が必要なら、燃やしちまうだろうなあ、俺。
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