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……ああ、そうか。
これが全ての始まりだったのかもな。
何でか、コイツだけはずっと捨ても売りもせず、肌身離さず持っていたんだよな。
金が欲しければ何でも直ぐに質に入れて手放すし、質草も無ければ盗って来るのが当たり前の俺がね。
何時、手に入れたのかも定かじゃないのにさ。
「望むか、臨むか、未だ選べますよ。人として終わるか、人を捨てて生きるか」
暗あい声が、地の底から響くが如く聞こえている。
ああ、だがとても色っぽい声だ
否、こいつは俺の脳に直接語り掛けてんのか?
左手に在るソレを凝視し、俺はポツリと呟いた。
素敵な魔法の道具を有り難うと感謝しながら。
「ああ、俺はノゾム」
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