化生転生

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豊潤な香りが立ち上がった。 そう言やあ、豆の袋は見慣れないものだな。 こだわりのお店からの購入かね。 珈琲は地獄の焔の様に熱く……何てキャッチ・コピーが書いてある。 目を細め、爺さんは細く細く湯を落とし続ける。 こだわりは有るが人には押し付けない。 良い人柄だよ、爺さん。 好きになっちゃいそうだ。 二人して皿とカップを手にして、さっきの本棚の有る部屋に戻る。 相棒はずらりと並んだ、高そうな本の背表紙を眺めていた。 昆虫の本でも探していたかね。 蝶々好きだもん。 犬っころは、おとなしくケージの中でお寝んね。 チラリと見た限り、腹は動いていないから永遠のだがよ。 それに気付かない爺さんは、俺等に朝食をどうぞどうぞと勧める。 三人席に着いて頂きますと食べる前に、俺は爺さんの冷めきったトーストと、自分の温かいのと取り変えっこ。
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