0人が本棚に入れています
本棚に追加
あん? おかしいな。目の錯覚か、腹は動いていなかったのに。
首根っこを、圧し折ったんじゃないのか。俺の相棒はよ。
変わらずもそもそ、パンにかじり付いている相棒は無口。
何にも喋っちゃくれない。
目配せにも気付かない。
何だよ、ムカつくな。
まあ、良い。
ほんのちょっとだけの長生きさ。
腹もくちて来たし、御礼にあの世を御馳走さ。
顔を見られているからな。下手に長生きさせときゃ、こっちがやべえ。
良い人だが、死んで貰うよ、爺さん。
「ジョン」
珈琲を啜る爺さんが、目を細めて犬っころを呼ぶ。
パッとジョンが立ち上がった。
おい、何だよ?
目ん玉が紅いじゃねえかよ。
普通の犬じゃねえのか。
最初のコメントを投稿しよう!