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それどころか妙な話で、身体に異様な力がみなぎって来る。
視界の端で、何かが動いた。
相棒じゃねえ。
人の姿をしたそれは幽鬼だ。
蒼白く生気の無い顔で、こちらを恨めし気に見る。
昨夜、金庫に閉じ込めた親父ちゃんだ。
相棒は幽鬼以上に顔を青くして怯えるが、俺は全く恐怖を感じない。
むしろコイツが、これからの俺の手下になると理解出来ていた。
「ああ、素晴らしいですね」
目を細める爺さん。否、ヨモツシコメは俺の手を取る。
「やはり貴方には、素質が有ります」
しわくちゃの手の中に有る、俺の左手には紅い石の飾られた指輪。
犬っころの目ん玉と同じ色。
「もっともっと、際限なく人を殺して見たくはありませんか? 貴方はイザナミ様の呪いを体現していらっしゃいます。生きたまま黄泉の者と成りて、イザナギの世に蔓延る人間共を殺し尽くしませぬか?」
何抜かしてやがるんだ。
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