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生意気盛りの中坊だから、一発KOしといたんだよ。
情けは無用ってな。
ん? 親の無様な姿を見せない様にしたんだから掛けた事になるのか。
まあ、いいや。
「で、金の在りかは?」
ゲホゲホと咽返っている親父と目線を合わせ、俺はニタリと笑う。
自分でもこの笑い方には迫力が有るって知ってんだよな。
目が笑ってない上に、他人より発達した犬歯がめくれた唇の間から覗いて怖いんだと。
ついっと指先を伸ばして、頬に出来た水ぶくれをプチュンと潰してやる。
途端、情けない悲鳴が親父の喉から競り上がり掛け、放たれるすんでの所で飲み込まれた。
あ? 声が出なかった理由?
思っくそ睨み付けてやったんだよ。
唇は吊り上げたままな。
怖えけど、叫んじゃ我が身が危ないって訳での賢明な判断だよ、親父ちゃん。
「で?」
再三の催促に親父は折れる。
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