0人が本棚に入れています
本棚に追加
ま、金より命さね。
中には金を取る業突く張りも居るがよ。
そんなのはレア・ケースさ。
大概はこうやって折れる。
まあ、どっちを優先しても辿る結果は一緒だがね。
肩で息を繰り返していた親父は、ふらりと力無く立ち上がると、うな垂れたままボソリと「こちらです」と呟き、先に立って案内を始める。
「へえ、書斎ってヤツか」
陽の当たらない壁側に、びっしりと本が並んだ書庫みたいなこじんまりした部屋に通され、思わずこぼす。
「んで?」
短く催促。
もう観念しきっている親父は、本棚の一部に手を掛けると、ゆっくりそれをスライドさせた。
おやまあ、本棚が丸ごと綺麗に壁に吸い込まれて行くよ。こんな忍者屋敷みたいな仕掛けが有るのは初めてだ。
勿論、本棚の後ろにはもう一つの隠し部屋。
つうか、隠し金庫か。
最初のコメントを投稿しよう!