2.夢の様な日々

3/3
前へ
/13ページ
次へ
でも、その夢の様な、しあわせな日々は、長くは、つづきません。 親方は、ざん念そうに、 「君の両親のようなしごとをしていた人の息子に、私の娘はあげられない」 と言いました。 娘は、泣く泣く、親方に話しをしましたが、 親方は、娘の、その気持ちには、答えませんでした。 青年が、その町を出る日、 娘は、 「私も貴方について、いきます」 と言いましたが、 青年は、 「そんな事をすれば、誰かが、きずつきます。  それに、僕には、貴女をしあわせには、できないかもしれません」 と答えました。  娘は、 「それでは、私の時が来るまで、私は一人で貴方をお待ちしております」 と言うのですが、 青年は、娘に、せなかを見せて、 「どうか、おしあわせになって下さい」 と言い、歩き出してしまいました。 娘は、 「いいえ、私は、いつまでも、いつまでも、貴方をこの橋の上で、お待ちしております」 と言いましたが、 青年は、その言葉には、返事をしませんでした。 その青年の心は、 また、粉々に、くだけてしまいました。 もう、泣く涙もありません。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加