プロローグ

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 きっと誰にでもあるだろう。 誰かのことが好きで好きでたまらなくなり、夜も眠れなくなった経験が。 私にも、そんなことが昔あった。 初めて誰かを好きになって、自分よりも相手のことを考えるようになったことが。 これは、私がまだ穢れを知らなかった青春時代の物語である。 ________  普通初恋というのは小学生のときにとっくに済ませるものであり、早い子は幼稚園もしかしたらその前に済ませているかもしれない。 けれども私は恋愛とかそういう類のものには相当疎く、男の子を「好き」などと思ったことが一度も無かった。 周りの女の子は恋バナと称して好きな男の子をバラしあったりキャッキャとやっていたが、私にはそもそも「好き」という感情がどんなものなのかすらよく分かっていなかった。 中学生になってからもそれは変わらず、1年生の頃は特に女の子特有のグループなるものにわずらわしさを感じ、男の子と一緒にいることも少なくはなかった。 男の子は良い話友達兼ケンカ相手であり、異性として意識したことなんて毛頭なかった。 だから、まさか自分が誰かを好きになってそしてあんな風になるなんて夢にも思っていなかったのだ・・・。
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