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「確かに“熱”があるようですな、そんなに頭に血が上った状態では授業などできますまい。休むと良い、届出は…ザントマン先生が出しておいて下さるだろう」
「私かね!!?」
突如会話に巻き込まれ、悲痛をつらつらと語り始めたザントマンを背にタランチュラは一例すると廊下に出て、そのまま窓から飛び降り消えた
「窓から行ったか―…炎を吐くとは相当キてたようだな」
タランチュラ殿がああなることはそう無いからなあ、と呟きを添えてマスカレィドは魔法学科の三年生たちに自習の旨を触れ回る
「あーあー損な役もらっちゃったよ」
影二はいつもの調子を取り戻すと、頭の後ろで手を組んで、つい先ほどまでタランチュラと話していた双子に歩み寄った
「っでー、タランチュラ超イラついてたけど、何話してたのん?」
問われた双子は困惑していたが、かばうように前に出た兄の後ろで、口を開いたのは妹の望のほうだった。
「別に…ただ“エディター”って人の名前を出したら急に…」
「エディター??」
その響きに、影二は右に左に首をひねった後
「あっ」
と呟いて、早々と自習の準備を始めていたサフィオに向き直った
「サフィオ、聞きたいんだけど『タランチュラホーク』ってもしかして蜂の名前?」
「ええ」
唐突な質問にも穏やかに、長い睫をわずかに伏せてサフィオは答えた。
「先生ご自身も仰っていましたが、タランチュラの響きの有名さに蜘蛛だと思われがちですが…本当は
『タランチュラを鷹のように飛んで狩る者』
という意味で『タランチュラホーク』だそうです。
濃いブルーの体をしたとても大きな蜂の名前ですよ」
そんな雑学も網羅してるのか、と数名の生徒がサフィオを見つめるが、影二はその視線をするりとかわし
「あいつ【エディターシリーズの天使】だったのかー」
と呟いて、どっかで聞いたことあったわけだーと言いながら歩き出した。
「【エディターシリーズの天使】?」
聞きなれない単語を鸚鵡返しに希が問えば、めんどくさそうに眼を半分にした影二は、今度は教室の隅で身をかがめていたドミニクに目線を向けた。
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