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楽しげに笑みを浮かべ、満足そうに笑う
『いつも自白させられている人』
それを不機嫌さを露に腕を組み見つめていたツミは、彼の額に手を伸ばした
「黄色い眼の鳥、は気に入らないわね」
「いたい!」
バチコーン!と高らかな破裂音とともに、ツミの指先がデコピンを放つ
「いたいよツミー」
メーディックの胸元に相変わらず拘束されたままの自白くんは、ぷんすか!ぷんすか!と擬音表記されそうな様子で訴えた
「まぁまぁ、貴方の瞳は確かに黄色系ではありますが…どちらかといえば橙色でしょう」
「変わらないわよ、大して」
宥めるメーディックの声を、鼻息とともに蹴散らして
繊月は数歩進んだ
「まぁいいわ」
厚い唇が開かれて、ぎらぎらと白い歯が覗く
「交渉だってなんだってやったげる」
睨み付けるような眼差しには、また狂喜を宿した月が浮かんだ
「ウチの組織が大きくなればなるほど、『母さん』にかけられる技術も材料も増えるのよ」
繊月の頭部から映えた一枚きりの羽が、心を写すように羽毛を膨らませた
「上司に大きなクチ叩くようでわるいけど、シャックスとメーディックには協力を頼むわよ」
口許をつり上げ振り向けば、2体の異形はそれぞれの単眼を僅かに細めた
「それはつまり“私に好きなだけ劇薬の実験をしていい”という意味なのでしょう?」
ならば大喜びですよ、とメーディックは注射器の片腕を構えて見せる
「ボクもおっけーなんだねー。ツミの分の仕事やらなきゃいけないのは面倒だけど、エルピスの材料を集めるってことは、“ホムンクルス兵の材料もたーくさんくれる”ってことなんだねー」
相変わらずの間延びした声でシャックスは答え
「ギブアンドテイク、承諾なんだよー」
と笑った。
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