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「我儘ついでにダンタリオンも呼びますか」
「いーねー、ボク治して欲しいクローン培養機器あるんだよー」
ラボ組古株の堕天使二人がそう話し笑い会えば、ツミは一瞥して歩き始める
「何処に行かれるのです?」
「時は鐘鳴りよメーディック。早速、母さんの予定していた配合因子をピックアップするわ」
ひらひら、と
白衣の裾を翻して歩き出す繊月に
軍医はなるほど、と頷いて席につき、器用にパソコンを打ち始めた
そうして、数分たった時だった
「はこがあいたよー」
「え?」
その胸元
自白させられている人は、ダンタリオンなる堕天使にメールを送ろうとしているメーディックに突然声をかけた
「はこ?それがいった…」
歩み寄るシャックスもまた首を傾げ、問いの答えを待っている時
「シャックス!メーディック!!ちょ、ちょっと来て!!母さんが!」
間を切り裂いたのは、滅多に見せないあわてふためいた様子のツミで
同僚の珍しい姿に、異形二人は腰をあげ小走りに進み始める
「はこのなかから、きぼうがでてきたよー」
ばたばたと重なる足音に、自白させられている人の声は誰にも聞こえない
「きぼうがなければ、ぜつぼうもないのにねー」
くすくす、くすくすと小さな声で、訳の分からぬ存在は笑う
それは、メーディックの胸元で揺すられながら
さも楽しそうに
「なんだか“あくむ”みたいだねー」
と、笑った。
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