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「ガーディ!物理結界展開!俺の血液を媒体にスパイダーウェブも固定し続けろ!」
タランチュラは己の盾に結界維持の指示を飛ばすと、ざわつく生徒に声をかける。
平素と変わらぬ声音と指示に、生徒らは徐々に落ち着きを取り戻した
そうして、個々が警戒を始めたのを見計い、タランチュラは数歩後ろに下がってから踵を返す。
羽を失った姿に、数人の生徒が声をかけたが、それを手で制するとタランチュラは男の前、牽制するかのように立つマスカレィドの隣で足を止めた
「…術にかかってはいなかったのか」
「ふん、健全な肉体には健全な魂が宿る。我が鋼の体に邪術の入り込む余地などない
だが、私の力で結界は壊せても、生徒らの支配を解くことは出来んからな、一芝居うたせて貰ったわ」
不服そうに鼻を鳴らして答えるマスカレィドに、今度はタランチュラが笑う
「俺は術を無効化できても、結界を越えて羽を飛ばすことはできない。血が必要だが、どうやって届けようか困ってたんだよな。馬鹿みたいな奴が、馬鹿みたいに羽を千切る選択をしてくれて助かったぜ
揃って笑う教師二人に、男は歯をくいしばって悔しさを顕にする。
「サンキュー、マスカレィド先生…演技派だったぜ?主演男優賞モノだわ」
「確実に騙すために、本気とは言わぬが八割弱の力で戦わねばならんかったのが苦痛だったがな」
「いっ…」
マスカレィドの言葉にぎょっとしたように変な声を添えて、タランチュラが彼を仰ぎ見た
「おいおい勘弁してくれよ先生、あれで8割とか俺割りとマジで死ぬかと思ったんですけど」
「うむ?タランチュラ殿であれば、あれくらいいなすと思ったのだが?」
「買い被りすぎですよ」
先生強いなぁーと付け加えて、タランチュラは数歩前に出た。
血まみれの骨が、痛々しい後ろ姿に、マスカレィドは押さえた声をかける
「タランチュラ殿、翼は?」
「ハッ!」
やけに威勢よく笑い飛ばしたタランチュラは、羽の隙間から除く金の眼を吊り上げて男を見た
「痛ぇよ?正直超痛ぇ…だが先生が関節部分で上手く抜いてくれたから思ったよりは出血はしてねぇわ。…そうだな、丸腰になったクソヤロウをボコボコにしてしょっぴくくらいの元気はあるね」
「ふむ、そうか…」
今度は数歩、マスカレィドが前に出て、その赤い瞳で男をみやる
「ならば」
「ああ」
二人の纏う気配が、圧となり一気に吹き出した。冷え込むような殺気と激情が向かう先は無論例の男一人
「「反撃開始だ!!」」
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