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目の前が闇になって、記憶にある話し声に我に返る。 「なぁ、お前も一緒にサッカーやってかね?」 「ごめん。妹が公園で待ってるから。」 「そっか。じゃぁなぁ~」 心臓がドキドキした。 震える手足を必死に抑えながら、僕は公園へと走っていた。 今度は! 今度こそ! 遥!遥!遥! 「あ!お兄ちゃん!」遥が僕を見つけ、駆け寄る。 「?お兄ちゃん?どしたの?すごい汗だよ~?」 「ははは…」僕は袖口で汗を拭い、鞄を斜にかけ直し、左手に遥のボールを抱え、右手は遥と手をしっかりと繋いだ。 途中、見覚えのある車が通り過ぎた。 「お兄ちゃん 痛ぁい」 遥と繋いだ手に思わず力が入ってしまっていた。 自宅の団地が見えた。 あと少しで家だ。 今度こそ、遥と家に帰るんだ!絶対に! あと少しの道が長く感じる。 遥を抱えて一気に走り出したい衝動を何度も感じた。 「あと少し…」僕が思わず小さく呟いた時だった。 けたたましい音。右肩に恐ろしい衝撃と共に僕は意識を失った。 遥の名前を叫ぶ間もなく。
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