1人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼんやりと 白い世界に居た。
?どこだろう?と、体を動かした瞬間、右肩に走った激痛に呻いた。
病院のベッドだった。
お母さんが 気が付いた僕を覗き込んだ。
疲れ果て、やつれた様に見えるお母さんの目は、泣きはらして真っ赤だった。
!!!遥!!!
「遥は?!」
お母さんは、赤い目に涙を溢れさせ、小さく首を横に振りながら嗚咽を漏らして泣いた。
そんな…
そんな…
「何で…」
お母さんが泣きながら話し始めた。その声が何だかとても遠くから聞こえる気がした。
「建築中の足場が倒れて上から直撃したの。
遥は…即死だったそうよ。
あなたが遥の手をしっかりと握ったまま、中々離せなかったと、救急隊員の人が話しながら泣いていたわ…」
病室の白い天井がボヤけた。
あと少し…早くか、遅くに その場を通過していれば!
僕はそう考えながら、手の中に再び玉の感触を期待していたが、握りしめた拳の中に再びあの青い玉は現れなかった。
守れなかった…
助けられなかった…
僕の目尻からは、ぼろぼろと涙が溢れ続けた。
最初のコメントを投稿しよう!