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ふと、気が付くと、病室は消灯されたのか、薄暗くなっていた。 何気なく窓の方へ顔を向けると、光が徐々に大きくなりながら射し込み、光の中にあの時と同じ様に人影が浮かんだ。 ただ、その人影は今度は小さな影と手を繋いでいた。 僕は 痛みも忘れ、上半身を起こして 人影に目を凝らした。 すると、影は次第に明るくなりその姿を現した。 「!お父さん?!!!遥!!!」 光の中の人影は、4年前に死んだお父さんに間違い無かった。そのお父さんと手を繋いで遥が居た。 「お父さん!ごめん!ごめんなさい! せっかく、遥を助ける為に時間を戻せる玉をくれたのに!僕はっ!僕はっ!守れなかったっ」 目から涙が溢れた。 「それは 違うよ」 懐かしい、優しい、お父さんの声だった。 「あの時間を戻す青い玉は、遥を助ける為に渡したんじゃない。」 「?!え?!」 お父さんは、手を繋いでいる傍らの遥を優しく見下ろし、遥は嬉しそうにお父さんを見上げていた。
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