プロローグ

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「福部社長もご存じでしょうが、蒲池商店は規模もあり、生産能力は抜群です。機械も新品とは言えませんが、自動生産可能な物ばかりです。関東方面や異業種向けの商品作りに適しているのではないでしょうか」 福部商店は九州だけではなく、関西・関東地区にも出荷していた。それだけではない。過去に経営危機に陥った時、和久は以前働いていた知り合いからPB販売を勧められた。 異業種向けPBではあったが、業界トップの会社だったこともあり、予想外の売り上げをみせた。 異業種とのコラボに成功した福部商店に対して、取引先のスーパーは関東方面への出荷を決断。知名度を活かした戦略により、経営危機を脱したのだ。 しかし、それに伴う弊害も出てきた。 生産が追いつかなくなり、今では商品待ちの状況も度々行っていた。 「泥谷さん、機械が変われば味も変わります。そうなれば福部商店の商品とは言えません」 味にこだわる和久からすれば、機械が新しければいいという問題ではなかった。 「リニューアルと考えてみてはいかがでしょうか。生産性も増して人件費も節約できます。利益増になれば安い買収だと思うのですが」
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