幕間:零氷と九尾の妖狐

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晃達が月華院に行っている間、ミュリゥは茜達と一緒に部屋で過ごしていた。ミュリゥはフリーシアに教えられながら勉強をしていた。 「本当にミュリゥちゃん、色々と熱心ね。」 「うん、だってお兄ちゃんとミリお姉ちゃんみたいに色んな事が出来るようになりたいもん。」 無邪気な笑みでそう言われてしまい眩しさで茜は目を細めた。すると、茜の視界に水月綺と陽華の姿が目に入った。 「そういえば、水月綺は晃との出会いはどんな感じだったの?」 「な、なんですかいきなり」 茜の質問に狼狽える水月綺を見て陽華とフリーシア、ミュリゥ、ユベルが視線を集中させた。 「確かに詳しく聞いていなかったのう。マスターから軽い概要は聞いただけで問いただすのを忘れておった。」 フリーシア、陽華、ユベル、ミュリゥの四人は使い魔歴で言えば短い、逆に晃と長く使い魔の契約を結んでいるのは水月綺であり。ミリアムは神獣のフィルである。 「ミズミズとお兄ちゃんの出会い聞きたい!!」 「水月綺さん、ミュリゥの興味がそっちに向いたので、話した方が良いと思いますよ?」 「うっ・・・」 ミュリゥの期待する視線に流石の水月綺も溜息を吐いた。 「仕方ありませんね。」 水月綺は晃との出会った時の事を語り始めた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「《我と契約を結ぶものよここに来たれ----召喚》」 幼さが残る声で詠唱が紡がれ魔方陣に魔力が注がれた。その注がれた魔力を使って愚かにも悠久の時を過ごす自分を召喚しようとした身の程知らずを懲らしめてやろうと戯れで此方側に召喚をした。 「逆召喚か・・・」 逆召喚によって召喚されたのは何と幼さが残る少年だったのだ。しかし、ただの少年では無かった。その身に底知れぬ魔力を宿していたのだ。しかし、どんなに底知れぬ魔力を持っていても操る事が全くと言って良い程出来ていない様子だった。 「お前が愚かにもこの私を召喚しようとしたのか?」 そう言って自分が居る場所を悟られないようにしていた幻覚を解除し、幼さが残る少年に姿を晒した。これが晃と水月綺の始まりだったと言えよう。
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