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二人の間に沈黙が流れる中、その場に居たユベルが咳払いをした。
「アンタ達、イチャイチャするのは勝手だけどそれを見せられる私達の身にもなりなさい。」
「・・・す、すまん」
「すみません・・・」
この場にはユベルの他に、ミュリゥ、フリーシア、水月綺、陽華、エフィ、フィルと晃とミリアムの使い魔達が勢揃いしているのだ。
「それに、マスター、みんなから預かった物渡さなくていいの?」
「あっ、そうでした!!」
ユベルの一言でミリアムは何かを思い出したようで、手を叩くとボックスを開いて中から手紙の束を取り出した。
「皆からの手紙です。」
「す、すごい量だな」
晃に渡された手紙は晃が隊長をしていた三番隊のメンバーだったり晃が所属していた幽影のメンバー、ルフィア学園クラスメイトや聖アマリリス女学園の者達と数百通にも及んでいた。
「あの戦いで傷ついた場所は少しずつですが復興をしてきています。リフィアも北の国再建に動き始めてました。」
ミリアムから晃が居なくなってからのリスティア界について話を聞いた。大体、予測していた通りの事が発生していたので事前に打っておいた策が役に立っていたようで何よりといった所だろう。
「そうか、みんな元気ならよかった。」
そんな中、便箋を見ているとある者に目が留まった。
「ミリアム、ジューダって」
「えぇ、結婚しましたよ」
ジューダは晃が隊長を務めていた三番隊の副隊長でフィリアと言うエルフの女性に恋をしていたのだ。晃が居た時は恋人までにはなったが、それ以降進展が無かった。しかし、ミリアムが後押しをしたようでようやく重い腰を上げたみたいだ。
そんな訳で晃に手渡された便箋の中には結婚式の招待状と手紙が入っていた。
「結婚式はもう終わってしまいましたが、晃に渡してほしいと」
「そうか、ジューダも・・・なら、今度は守れるようにならないとな」
晃から零れた言葉にミリアムは僅かに反応する。晃は以前に部下を二人失っている。その二人は夫婦で妻の方は子供を身籠っていたとも、夫の方は任務で命を失い、妻の方も後を追うように自殺してしまったのだ。
晃の大切な者の命が同時に三人も失われてしまった時に晃は酷く自分を責めていたのだ。
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