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道中視線を感じながらも教室へ入ると一瞬で晃に視線が集中する。
「な、なんだ?」
「さぁ・・・」
視線を横目に自分の席に着くと直ぐに夏樹と隆介が晃の席に駆け寄ってきた。
「お前、日曜日に一緒に居た女の子は誰だよ?」
「あぁ、俺の家にホームステイしている人だけど?」
「それにしては仲良さそうに腕を組んで歩いていたよな?」
「小さい子も一緒だったって聞いたけど?」
どうやら見られていたようだ。買い物をしていたのが宝将院財閥が経営しているショッピングモールだ一緒に歩いているのを誰かに見られていたとしてもおかしい話ではないだろう。
「まぁな、留学先で知り合ったんだよ。仲良さそうにしていたのは一緒に居る事が多かったから俺にとってはいつもの事だ。あとは小さい子は妹だな」
嘘は言ってはいないが事実も言っていない。ミリアムが恋人である事は今は伏せて置くべきだと思ったのだ。
「じゃあ、どうして留学先で知り合った子が晃の家に居るのよ?」
「色々合って春からこっちの学校に通う事になったんだよ。それまで日本語の勉強をする必要があるからその期間に当てているんだよ。」
「じゃ、じゃあ、恋人同士とかでは無いの?」
夏樹の問いに対しての返答を晃は迷う。今は恋人である事を伏せて置くべきだと考えているが恋人同士である事を否定するのは何となく気が引けたのだ。
「俺とその子の関係についてとても近い関係とだけ言っておくよ」
晃は眼鏡を外して、人差し指を口元に持っていき片目を瞑って笑みを浮かべた。姉の茜が良く使っている技である。それによって、夏樹を含めて晃を見ていた女性陣が固まってしまった。
「お前、それ・・・」
「何か問題でもあったか?」
晃の顔立ちはどちらかと言えば母親である優姫に寄っている為、表情一つで女性にも見えてしまう程だ。タチが悪い事に晃はリスティア界にある優姫の故郷である東の国神楽原にある神和院の巫女族達を見て来た為、女性としての作法も身に着けてしまっている。
そして、晃が纏っていた雰囲気をガラッと変え妖艶な雰囲気を纏った事で男子達すら石化させてしまった。
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