第二章:日常

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晃がリスティア界から戻ってきて数日が経過した。 戦いの傷も大分癒え、日常生活を送る分には問題ない程になった。 とは言え、まだ安静にしていなければいけない為、激しい鍛錬をする事は出来ない。晃は鍛錬をしていた時間を居なかった三年間の情報を入手する時間として、活用した。 「ただいまぁ」 玄関から、妹である璃菜が学校から帰って来たようだ。 「お兄ちゃん、ただいま!!」 「あぁ、おかえり」 リビングで古い新聞を読みながら、返事をすると嬉しそうに笑みを浮かべて階段を駆け上がっていった。 「マスター様、お茶です」 「おう、ありがと」 フリーシアが淹れてくれたお茶を啜りながら、息を吐き膝の上で寝ているエフィの頭を撫でる。窓際には水月綺と陽華が丸くなって眠っている。 使い魔達はこの世界に一緒に来てしまった事で精霊界に帰る事が出来なくなった。とは言え、フリーシア、水月綺、陽華と晃は魂の盟約と依り代契約を結んでいる為、三人を召喚する事に魔力を消費する事が無いので特に問題は無い。 「お兄ちゃん、今日も古い新聞読んでいるの?」 「三年間居なかったからな、今はどんな感じなのか把握して置きたいんだ。」 私服に着替えた璃菜が隣に座って晃の読んでいた新聞を覗き込んだ。 この三年間で璃菜も大分大人っぽくなった。とは言え、こうして横に来る辺り、甘えん坊なのは変わっていない。 「そういえば、お兄ちゃん、学校はどうするの?」 「あぁ、母さんが色々と手続きしてくれてな来月の下旬に試験を受ける事になってる。試験の教科は五教科だと。」 晃は中学一年生の時にこの世界を去った為、知識はそこで止まっているかと思われたが、向こうの世界で学んだ知識が戻ってきても十二分に通用する事が分かった。 先ず数と理の二教科は知識が高校生のレベルを超えており全くの無問題。英はリスティアで英語に近い上にリスティアでアルス語、スパニエ語、ジパング語の三言語を会得しているので、今までと同じやり方で問題無い。同じ理由で国語も問題無く、知識が足りない社会もこうして新聞や茜と璃菜から借りた教科書を読んだり過去問を解いたりしている為、晃が合格するのは確実なものとなっていた。
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