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幸いな事に彼等が教室に入って来ないのは、部活動の勧誘を教室の中に入って行う事を禁止されているからだ。つまり、教室に居れば勧誘される事は無いのだ。
「部活動か、今は何処の部にも入る気は無いんだけどな・・・」
「大変ですね。晃様」
すると、帰り支度をした夜華が苦笑いを浮かべて近づいてきた。そんな夜華に晃は小さく息を吐こうとした所で教卓側の出入り口に色んな運動部のユニホームを着た女子生徒が集まっているのが見えた。
「星切さんも人の事、言えないのよ。あっちに集まっている人達、全員星切さんの勧誘なんだから?」
「えっ?」
咄嗟に夜華も言われるままに教卓側の出入り口を見ると表情が僅かに引き攣ったのが座っている晃からでも見えた。
「夜華は何をしたんだ?」
「こ、心当たりがありません・・・」
「何言っているの星切さん、先週あった体育の授業で見せてくれたじゃない。」
「体育の授業・・・あぁ、確か俺達は2組と3組と合同だったよな」
ちなみに晃達は1年1組に所属している。そして、先週行った体育の授業では他クラスと合同で男子はグラウンドを走ってからのサッカーを女子は体育館でバレーボールをやっていたと聞いた。
「夜華さん、大活躍だったじゃない」
「・・・」
夜華のしまったと言う表情を見て、彼女の身体能力を知っている晃はなんとなく察した。実際、力をセーブして体育の授業を受けるのは難しいのだ。これぐらいかと思い力をセーブした結果、想定以上の反応が返ってきてしまうのは晃も経験がある。
「夜華、利害は一致していると思うがどうする?」
「乗りましょう」
「アンタ達、何するつもりよ?」
「おい、部活やらないのか?」
「あぁ、今は編入したばっかりだしな。部活の所属するのはもう少し様子見てからにしたいんだ。」
「そうですね。私も同じです。」
だが、説明した所で納得してくれる者は居ないだろう。だから、晃はこの状況を回避する策を考えたのだ。そして、晃は立ち上がると夜華に作戦を伝える。
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