第五章:剣舞

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ミリアムが刀を受け取った瞬間、甲高い音のような物がミリアムの頭に響いた。しかし、不快なものでは無く何処となく落ち着く感じだった。 「ミリアム、何か感じたか?」 「不思議な気配のような物が・・・」 「ミリアム、刀を少し抜いて自分の目を刀身に移してみてくれ」 「は、はい」 ミリアムは晃の言われるままに刀を引き抜き自分の瞳を刀身に移すと今度は鈴のような音が社内に響き渡った。 すると、その鈴の音に呼応するように突然、晃の愛刀である凍華が姿を現した。 「凍華?」 「主よ。あの刀は本来、我が入るべきだった依り代か?」 「そうだよ、蒼龍」 晃に巻き付くように姿を現した蒼龍がミリアムの持つ清白雪を見つめると、鈴の音が消えミリアムは刀身から目を離した。 「晃、もしやこれは」 「あぁ、清白雪がミリアムを主と認めたようだね。」 晃はボックスを開いて、熾魔石を取り出してミリアムに手渡した。 「じゃあ、これを清白雪がミリアムに合った形に変化してくれると思うよ。」 「はい」 ミリアムが熾魔石に魔力を込めると魔石が輝きを放つ。その状態で清白雪に合わせると輝きが増し眩い光が社内を包み込んだ。 光が収まるとミリアムの手には刀身から鞘までが美しい銀色の鍵が姿を現した。 「鍵型の片刃剣?」 「はい、しかも片手剣ですね。すごく手に馴染みます。」 「ミリアムちゃん、その剣の名前は?」 「エンブレスソウルです。」 「魂を抱く者か、ミリアムにピッタリだな」 晃がミリアムのエンブレスソウルに触れと鈴のような音が頭に響くと晃はコクリと頷いた。 「ミリアムを守ってくれるのを感じるよ」 「はい、この剣・・・晃が使っていない筈なのに晃の気配を感じるのですごく落ち着きます。」 互いに笑みを浮かべ合い、見つめていると横から咳払いが聞こえて来て二人はビクリと肩を震わせた。 「私が居るのを忘れてないかしら?」 「あ、あぁ、も、勿論だよ。母さん、なぁミリアム」 「は、はい、そうです。」 二人でそう言うが結局、優姫には溜息を吐かれてしまった。
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