第五章:剣舞

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その視線に気が付いた晃だったが、何も言えずにいるとミリアムに背中を抓られてしまった。 自分の部屋に戻ると勉強道具を持ってミリアムが入って来た。 「晃、今は大丈夫ですか?」 「あぁ、日本語か?」 「はい、お願いします。」 晃が折りたたみのテーブルを出して向かい合って座るとミリアムに勉強を教えながら自分の勉強も一緒に行う。 「晃、これなんですけど」 「それは、ここの文章を指しているんだ。」 「なるほど、こうして会話が出来ていると言語を覚えるのも楽ですね。」 そう言うミリアムだが、彼女もリスティアではリスティーの教育によって高校生レベルの問題は片手間程度で出来る程の学力があるので、物凄い速さで吸収しているのだ。 それを言えば、今は優姫と一緒に眠っているだろうミュリゥもフリーシアから日本語の読み書きを何処まで覚えたのかを聞いたら既に小学生高学年レベルまで達していると言うから驚きだ。 「それにしても今日で随分覚えたな」 「はい、まだまだ覚える事は沢山ありますから早く日本語をしっかり読み書き出来るようにならないと思いまして」 こうしてミリアムと会話しているが今のミリアムは翻訳をする魔法が施されたペンダントを外している状態で会話をしているのだ。この世界に来て数日で此処まで来ているのだから本当に驚きだ。 「晃だって、二、三日でアルス語を覚えてたじゃないですか」 「あぁ、そうだな」 ミリアムの勉強法は自分の苦手箇所から克服していくというやり方で、最初はゆっくりだが後半は一気に加速するタイプなのだ。同じ人から学んだ晃も同じやり方になので勉強する際は互いに非常に教えやすい教わりやすい関係でもある。 雑談を挟みながら勉強する事、数時間いつの間にか日が変わっていた。 「そろそろ良い時間だな。」 「もう、こんな時間ですか、そろそろ寝ないとですね。晃もちゃんと寝てくださいね?」 「あぁ、ちゃんと寝るよ。」 「本当ですかぁ?」 睡眠に関してミリアムに信用されていないのは、リスティアでミリアムと副隊長であるジューダに作業机から引きずり降ろされるまで仕事をしていた事が多かったからである。
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