第五章:剣舞

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そんな会話をしながら片付けをしていると、突然、部屋に置いていた白亜の盾から支給されたスマホが鳴り始めた。 「晃、スマホが」 「あぁ、緊急出動の着信音だ。」 晃は戦闘時に使用する小型の端末を耳に装着して通話ボタンを押した。 「此方、天道晃だ。」 『こちら玲、〇〇区◇△市にマキナが出現、マキナは一般車両を追いかけて北西方面へ進行中、大至急出動を要請する。』 「了解だ。緊急ライセンスの適用は?」 『申請して許可されてる。』 「了解だ。直ぐに向かう。」 緊急ライセンスとはマキナ等が出現した時に現場に急行出来るようにあらゆる法的制約を解除すると言うものである。つまり、晃の年齢でも通常では運転する事が出来ない乗り物を運転する事が可能になるのだ。 連絡を聞きながらミリアムを見ると、ミリアムは部屋から出て行っており部屋には一人だった為、直ぐに戦闘服に着替えると部屋を出て 「晃、私も行きます。」 晃はガレージに入り、京伽が手配した晃用にカスタマイズされたバイクを出そうとしているとリスティア界で使用していた戦闘服に身を包んだミリアムが姿を現した。 「分かった。ミリアム、これを」 ミリアムにヘルメットを手渡す。準備が出来てガレージを開けると晃はバイクに跨り後ろにミリアムが座ると晃の腰に手を回した。 「晃!!」 「お兄ちゃん!!」 「姉さん、璃菜、先に行くからな、後から追いついて来てくれ!!行くぞミリアム、しっかり捕まってろ!!」 「はい!!」 そう言って晃はアクセルをひねり移動を開始した。 「玲、今出た所だ最速で追いつける経路の誘導を頼む、俺と一緒に乗っているミリアムにも情報の開示を頼む」 『分かった。』 するとヘルメットのバイザーに経路のホログラムが映し出される。 『今ならこの経路を通れば最速で辿り着ける。今出ているルートを通って交通規制をしている場所に入ったら、直ぐに遭遇するから追いかけつつマキナを破壊して』 「了解だ。ところで一般車が追われているのはどうしてだ?」 『理由は分からない。マキナが現れた場所に偶然、その一般車が通ろうとして標的になったみたい。』 もしくは一般車に乗っている者がベリューアに取って邪魔な存在になるから、意図的にマキナを送った可能性も考えられる。
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